せっけん丸洗い工房ふたごやプラス

私はもともと、父の営むクリーニング店「ふたごやクリーニング」に勤めておりました。
小さな頃から、クリーニングの仕事を眺めて育ってきました。そして、この仕事のお陰で自分たちの生活が成り立っているのである、という感謝の気持ちが自然とありました。
そのため、社会人となった時もあまり難しく考えることもなく父の会社で働くことを決めました。

クリーニング業は、お客さまの大切な衣類をお預かりし、汚れを落とし、アイロンをふわっとパリッとかけてお返しするのが基本の仕事です。お客さまの喜びが手に取るように見える仕事ですので、充実した毎日を送っていました。
「このまま、ふたごやクリーニングで働き続けるのだろう」と気負いもあまりないスタンスで居られたのは、私の弟も一緒に働いていたからかもしれません。

しかし、ある日、転機が訪れました。
オーガニック素材のふとんを製造販売する会社から「ふとんの丸洗いをお願いしたい」という依頼を受けたのです。
期待をし依頼をいただくことは本当にありがたいことなのですが、課題は山積みでした。
「ダニなどのアレルゲンに対応可能で、かつ100％天然由来の洗剤で洗わなければならない」

設備投資や人材確保、しかも土地の手配のことを考えると、「はい、喜んで」と即答できるお話しではありません。当然のことですが、家族会議が繰り広げられるわけです。
「お断りをする」という選択肢もありました。気持ちが行ったり来たりする中で、いろいろな声を聞くことがありました。人が健康であるために大切な「食事」「運動」「睡眠」のうちの「睡眠」をとることができない、しかもそのせいでさらに症状がひどくなる…。オーガニックのふとんを買っても、定期的に洗わなければダニが棲みついてしまう、しかも普通に洗ってしまうとオーガニックのふとんの意味がなくなる…。誰かがなんとかしなくては！その誰かに自分がなるべきだ！と決意し、父の会社から独立し、私自身で事業を立ち上げることにしました。

「使命感にかられる」というのは、こういうことなのでしょうか。
自分が今まで積み重ねてきた経験や知識を、新たなことに役立てたい。頼る先がなくて困っている人を助けたい、そんな気持ちが私の中で燃え始めました。
家族も居り、子どもも中学・高校と大変な時期に差し掛かっていましたので、不安が無いわけではありませんでしたが、多くの方に協力をいただき、また私の信念に賛同してくれる社員＝仲間も見つかり、開業でき、今も「お客さまに喜んでもらっている」実感を受けながら、ふとんを毎日洗っています。

私たちスタッフにとって一番の元気の素は「お客さまからのお声」です。初めてご利用いただくお客さまのふとんをクリーニングしてお返しした数日後、お礼のお手紙が届いたり、リピーターのお客さまから、依頼のふとんと一緒に一筆「よかったですので、またお願いします」と添えられていたりすることが頻繁にあり、毎日楽しみにしています。
もちろん、厳しいお声もいただきます。でも、その声は弊社の成長を思ってくださってのことですし、「言われないと気づかなかった」と思い返して明日の改善に努めています。ありがたいことに、ご指摘をいただいたお客さまにもリピートしていただいております。

アトピー症候群や化学物質過敏症は、今後も現代を生きる私たちの課題です。今は症状がない私も、いつ発症するかわかりません。
多くの人たちが今、そして未来をイキイキと生きられるお役に立てられる誇りある仕事として、私たちは南国土佐の自然に囲まれたファクトリーでこれからも全国のお客さまの笑顔に支えられながら丸洗いし続けます！

代表　 池 伸一